スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

それぞれの捉え

 SSW(注1)の扱う案件は多岐ですが、

私が今のところ扱っている案件で一番多いのは登校渋りを含む不登校です。

不登校に至るということは、すでにいろいろな問題点が複雑に絡んでいたり、

その問題が根深かったりと、どうしようもなくなった状態になっている、

ということが多いように思うんです。

こうなってからSSWに相談してくださっても、

能力のある先生方を超えて、さらにすごいことなんてSSWはできないんです。

ですので、そうなる前に、お子さんの行動の変化を察知し、

SSWにちょっと声をかけてほしいとの思いで、

日々少しずつ先生方にご理解いただけるようお伝えさせていただいています。

それが功をなしてか、最近は拠点校の養護教諭がよく情報提供をしてくださいます。

その中で気になったAさんについて管理職に尋ねてみました。

先日、いじめアンケートに、

「いじめまではいかないけれど、クラスメートとの関係で困っている」

と書いてくださったとのことでした。

そして、Aさんの保護者様と偶然お会いすることができ、立ち話で保護者様の思いを伺うことができました。

保護者様は「クラスメートのことがきっかけでAは教室に入れなくなっている」という捉えのようでした。

管理職や担任の先生の捉えも確認しました。

管理職は「就学前から登校渋りはある、親子の分離が課題」

担任の先生は「登校時、保護者が校内についてきてしまうことで離れられなくなっている」

という捉えでした。

捉えがそれぞれ違っていました。

捉えが違うと、支援の方向性がそれぞれになってしまいます。

おそらく、保護者様は「担任に教室内の人間関係の改善」を望んでいると思われます。

つまり、学校がなんとかしてくれれば、という思いだとと思うんです。

そして、管理職と担任の先生は「保護者の行動の変容」を望んでいるように感じました。

つまり、保護者がなんとかするべき、という思いが強いように感じました。

私はどちらも当てはまると思います。

そして、今やるべきは、どちらでもなくその前の段階、

ラポール(信頼関係)を築くこと」だと見立てました。

本当ならこれを皆で見立てるために、ケース会議を行うのが良いと考えます。

ケース会議をすることで多面的にAさんを見立て、

現時点で自分は何ができるか、を明らかにしてもらえば、

「保護者が変わること」は今ではない、

「保護者と学校との信頼関係を築くのことがまずやるべきこと」

ということを共通認識できます。

ただ、先生方はお忙しいのでこの程度のことで開催をお願いするのはしづらいのが現状です。

 

そして、私は管理職に

・保護者は学校に不信感を持っている可能性があること

・まずは保護者様に安心してもらうこと

・繊細なお子さんはノンバーバルなものを感じやすいため、保護者様の不安を同じように感じている可能性があること。

を伝えさせていただきました。

そして、これを私から担任の先生に伝えることを管理職に了承していただき、

放課後、担任の先生とお話しさせていただきました。

担任の先生は、いじめアンケートの件は相手の子を指導したこと、

そして、その後も見守ってくださり、以前より良い関係に見えること、

を教えてくださいました。

私は上記を保護者様に伝えていただくことで保護者様が安心できること、

そうすると、Aさんも保護者様の安心が伝わり安心できることをお伝えしました。

こういった話をする中で、担任の先生は保護者様と自分との関係性に着目していただけたようでした。

良い変化が起こると良いなと期待しています。

 

SSWはよく「繋ぐ人」と言われたりします。

このように、捉えがねじれの関係で繋がっていない関係を繋いでいく、

こういったこともSSWの仕事だと思っています。

そして、欲を言えば、こういったことをできる人材が常に学校にいられると良いのに、

と思ってしまいます。

余談ですが、私は拠点校に週に1回しか出勤していないのでその後のことが気になって仕方ないときがあります。

 

注1 SSWはスクールソーシャルワーカーの略です。