スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

愛着障害?orADHD?

無断で学校から出て行ってしまう

Aさんはすぐ離席してしまいます。教室から出て行ってしまうこともしばしばです。教室にいたとしてもみなと同じように行動することはほとんどなく、クラスメートにちょっかいを出したり、ぶつかったり、挑発したりといったことをします。学校の敷地から出て行ってしまったこともあり、先生方はどうかかわってよいか迷いながら対応されているようでした。

SSWに甘えるAさん

ある日、教頭先生から、「Aさんと教職員のかかわり方を観察し、今後のアドバイスがほしい」と依頼を受けました。その時はうっかり「はい、わかりました。」と言ってしまいましたが、アドバイスは医師や心理士が適切だと思い、私は観察や直接的なかかわりでできるだけ情報を集めて見立てることをさせてもらうことにしました。

そして、一番気になったことは、Aさんが池に向かって氷を投げていたら勢い余って落ちそうになった時のことです。

Aさんはすんでのところでしゃがみこみ、その直後表情も身体も硬直していました。私は「危なかったね、落ちなくてよかったね。」と声をかけました。すると、Aさんは私のもとにやってきて両手を広げました。私はAさんを抱きしめて背中を軽くなでながら「怖かったね。」と声をかけました。数秒後、Aさんが私の背中に回した手を離し、何事もなかったかのように教室へと歩き始めました。そして、階段を上っていく足取りが重くなったので、「おんぶする?」と声をかけました。すると、しゃがんだ私の背中に身体を預け、階段を上りきるまでおんぶされていました。

愛着障害の可能性

私はAさんに会うのは多くて週に1回程度です。そんな親密な関係にない私に甘える行動を見せるところ、また、読書が好きで教室にいるときは長いお話を読み続けている時もあるところから、「脱抑制型対人交流愛着障害」の可能性もあるように思いました。

学校での支援方法

Aさんは受診が始まったばかりでまだ診断名はついていません。どう診断されるかで支援方法は変わってくると思います。

もし愛着障害だった場合、それを親御さんに伝えることには慎重になるケースもあります。それは、愛着障害を伝えることで親御さんがショックを受け、お子さんにとって不利益が生じる可能性があるときです。その場合、親御さんには発達障害と伝え、病院は「愛着障害」と記録しています。

そういった場合を想定して、学校が病院へ直接問い合わせることで、医師からアドバイスをもらい、より良い支援につなげたい思いでいます。