スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

『ブロークンレコードテクニック』を今更知る

 

 

校内巡視

私は面談等入っていない時間帯は校内を自由に見回っています。

校舎内はもちろん、昼休みは運動場、下校時は昇降口付近でお子さんたちの様子を観察しています。

観察者であることが基本なので、挨拶はあえて自分からはしないようにしています。

子どもの方から挨拶してきてくれたり、話しかけてきてくれる場合にはもちろん応じています。

そして、こういったお子さんは、いわゆる普通のお子さんではなく、優等生、もしくは何か抱えているお子さんです。

なので、黙って歩くことでスクリーニングも兼ねていると思っています。

冷たい指示

そんな中でちょっと心に引っかかっていたことがあります。

特別支援学級の先生のお子さんへの指示の出し方が冷たく見えることがありました。

例えば、気持ちが落ち着かず泣きわめき続けるお子さんに対し、

「(プリントを指さし)やります、やります、やります・・・」

と同じ言葉を淡々と繰り返し伝えるのです。

私の立場からすると、お子さんの個別の事情を大事にされていないように感じたのです。

上記の場面でのスクールソーシャルワーカー(以下SSW)のかかわり方は、泣いている理由や今の気持ちを尋ねたり、想像して代わりに言語化したりという手法を使います。

私たちと違うので冷たさを感じていたのだと思います。

しかし、その感じていることは伝えないでいました。

先生には先生の意図があるのだろうと思いますし、実際その対応でお子さんが落ち着くのも見ていました。

結果お子さんが落ち着くのであれば、手法はいろいろあって良いと思っています。

ブロークンレコードテクニック

ある日、いつもより長い時間特別支援学級のベテランの先生とお話しする機会を得ました。

その時、私が心に引っかかっていた指示の出し方について聞くことができました。

なんと、その方法には名前がついていて「ブロークンレコードテクニック」というそうなんです。

この手法をこの時初めて知りました。

ネットで検索してみると、おおよそ一番古い記事が2011年のようでした。

私はずっと教育に携わり常に最先端を意識していた自負がありました。

それなのに、2011年にはネットで記事になっているようなテクニックについて、2022年の今まで知らないでいたことがけっこうショックでした。

なぜ知らなかった?

そして、理由を考えたとき、2011年はタイに住んでいたからだと思いました。

タイに住んでいた時も塾の自習室の管理者として教育には携わっていました。

しかし、この時にかかわっていたのは海外赴任する親を持つ優秀なお子さんたちがほとんどで、発達障害学習障害などの知識はあまり必要なかったのでした。

だから、「ブロークンレコードテクニック」という言葉に触れる機会がなかったのだと納得しました。

教育や発達障害、子育てなどに対し、既存のテクニック等はある程度知識として入っている自負があったのですが、今回のことで改めて謙虚な気持ちになりました。

今後もSSWとして知っておいたほうが良い知識を謙虚に吸収していこうと思います。