スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

身体的虐待をしてしまう母親

中学生でやっとつながる

Aさんは小学生の頃から母親との関係に悩んでおり、

担任の先生やその他の先生たちに話を聴いてもらっていたのでした。

私のとしては、この段階でSSWにつないでほしいと思うわけですが、

学校としては、教員でまず何とかしたかった思いがあったのでしょう。

Aさんが小学生の時には私に声がかかることはありませんでしたが、

Aさんが中学生になり、中学校の先生は私に声をかけてくださり、

Aさんの母親と面談できることになりました。

そして面談時、Aさんのお母さんは涙を流しながら

自分がAさんを幼児のとき叩いて育てていたことを話してくれたのでした。

お母さん、がんばれ!

面談では、被虐体験のあるお子さんは、愛着形成がうまくいっていないことから

発達障害のような表れがあったり、ストレスが原因と言われる病気になったり、

交感神経が常に優位であることから、神経過敏な傾向にあることなどを伝えさせてもらいました。

愛着形成がうまくいっていない部分を今からやり直そう、といったことを提案し、

Aさんの思いを受け入れてあげてほしいことを伝えました。

また、中学生は反抗期なので、親からの指示は最低限にし、

指示したいことが10個あったらそのうちの2,3個を厳選してほしいことなども伝えました。

2か月後の変化

次の面談はおおよそ2か月後でした。

正直、劇的な変化なんて望んでいませんでした。

が、予想に反して、学校での表れも、家での表れも、気にならない程度になっていたのでした。

お母さん自身も2か月で何かが変わると思っていなくて、

面談後すぐのころは、2か月後の面談で合わせる顔がないかも・・・

と思っていたことを正直に話してくださいました。

先生たちに頼って良かった、感謝している、とおっしゃってくださいましたが、

私も先生も、いやいや、私たちは何もしてなくて、お母さんが頑張ったんだよ、と伝えさせてもらいました。

Aさんお母さんはすごい!

幼児期に身体的虐待をしてしまった、というお母さんで、

変われない人もいますし、その行動を反省しない方もいます。

そんな中、Aさんのお母さんは反省しているから涙したし、

行動も変えてくれました。

大人が行動を変えるのは本当に難しくて、

変えきれず、結局子どもの暴力を引き出してしまい、

お子さんが一時保護されてしまったケースも知っています。

Aさんのお母さん、本当にすごい!と心から思っています。

私のこの思いがAさんお母さんに伝わっているといいな、と思っています。

精神疾患や特性のある母親

精神疾患のある親

精神疾患を持ちつつ、子育てをされているお母さんと出会うことがあります。

私と出会ってまもなく疾患について話してくださる方もいらっしゃれば、

何年も経ってから実は・・・と話してくださる方、

また、お話を聴いている中で、このお母さん、特性あるかも、

と感じる方もいらっしゃいます。

二次障害かも?

Aさんのお母さんは精神疾患があり、

それを先生たちにはオープンにしているようでした。

ただ、私は週に1回しかその学校にいない人なので

知っているとも知らないとも言わず、あいまいにしながらお話をしています。

すると、立ち話の中で、ご自分の育ってきた家庭ではよく怒られていたこと、

落ち着きのない子であったことからよく怒られていたのだと思うこと、

また、兄弟間差別もあったことを教えてくださいました。

このことから、お母さんにはもともと特性があり、

特性に合った養育を受けられず、否定されて育ったために、

二次障害として精神疾患を患ったのではないか、と推察できました。

その病は幼少期が影響している可能性

昔は、精神疾患の原因に養育環境は関係ない、と言われていたようです。

しかし、今は、医学的に不適切な養育を受けてきた方が、

精神疾患に限らずさまざまな病気にかかるリスクが高まる、と言われています。

なので、私は、精神疾患をもつ保護者さんに出会ったときは、

その方の子ども時代はどうだったんだろう、と知りたくなるのです。

ですが、それを尋ねることはタイミングが難しいと思うのです。

教えてもらえる

話の流れの中で質問することはありますがまれです。

保護者さんが、実は・・・と、教えてくれるのです。

精神疾患にかかるタイプの方々は、

非言語的なところを感じる取る力がある方々と思っています。

それで、私の「知りたい」思いに気づいてくれるのではないか、と思うのです。

それともう一つ、「聴き方の技術」をうまく使えているのもあるのかもと思っています。

私はときどき、「話しやすい」と言ってもらえます。

それは、ペーシングやミラーリングなどの技を使っているからだと思うのです。

聴いた後のその先の保護者支援

こうして話をしてくださるお母さんの話を聴くことで癒すことはできるけど

それ以上の支援を私はよく知りません。

もっと何かしたい、そう思うようになりました。

まもなくアラ還に片足踏み入れそうな年齢ですが、

精神疾患のある保護者さんを支援できる力をつけるため、

精神保健福祉士を取得したくなっています。

上手に聴くには技がある

話しやすいと思われるレベル

傾聴って奥が深く、私には難しい、との思いがあります。

傾聴は難しいけれど、「この人話しやすい♪」って思われるレベルの聴き方には

自分は達していると思うし、

それに関しては自信もあると言ったところで、

学校やその他で「聴き方研修」を積極的に行っています。

過日は市民向けに「上手な聴き方講座」を行いました。

そして、その講座の事例の材料になるようにと、

いつも以上に自分が使う技たちを気にしながら人と話していました。

Bさんに怒られる

不穏になりやすいAさんが珍しく穏やかに学習している隣に私がいるとき、

これまた不穏になりやすいBさんが私に横にちょこんと座りました。

学校って、いつも不穏な○○さんが今日はいいね、ってときに、

別の△△さんがまさかの不穏、なんてことはよくあることで、

Bさんは何かあったんだな、と話を聴きました。

すると、自分が困っていることをわかりやすく教えてくれたのでした。

が、私はこのとき実は聴き方を失敗しました。

「手伝ってくれる人がいなくて困っている」とBさんは話してくれたのに、

「一緒にやってくれる人がいないんだね」と「言い換え」の技術を使ってしまったら、

「ちがうよ!手伝ってくれる人がいないんだよ!」と怒ってしまいました。

ああ、ここは、「繰り返し」の技術を使うところだった、と反省しました。

子どもは語彙力が低いので、そのままの言葉を使う方がわかってもらえた、

と感じやすいのかな?と反省しました。

C先生に話しやすいと言われる

放課後、C先生とC先生のクラスのお子さんについて困り感を聴いていました。

が、子ども達が下校しいなかったこともあってか、

話はC先生自身のことになっていき、

C先生がどんな家庭に育ったのか、これからどうしたいのか、

みたいな話になっていったのでした。

このとき私が主に使った技は「ミラーリング」。

私はこの人と信頼関係を作りたい、と思った方には、「ミラーリング」はよく使います。

そしてC先生は、「まずい!会議があった!また話聞いてください!SSWさん話しやすくて話し過ぎちゃう~。」とおっしゃって教室を出ていかれました。

自信を持ちつつも上を目指す

C先生のように、素直に思いを言葉にしてくださる方からは、

「話しやすい」と言っていただけることがあり、こういったとき、自分に自信が持てます。

とはいえ、自分は聴き方が100点だとは思わないし、

一生100点にはならないとわかっていて、

それでもいつも100点を目指すことが大事と思っていて、

今後も聴き方研修をやっていきたいし、

自分自身も聴き方を磨き続けたいと思っています。