スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

2022-01-01から1年間の記事一覧

不適切養育を自覚しない保護者

子どもの脳を傷つける親たち NHK出版新書 作者:友田 明美 NHK出版 Amazon 虐待を容認する保護者 身体的虐待や体罰を容認する保護者さんはいまだに一定数います。 家で叩いている、学校でも叩いてくれていい、そうしないと言うこと聞かないから、 という声…

叱っているその行為、本当に子どものためですか?

〈叱る依存〉がとまらない 作者:村中直人 紀伊國屋書店 Amazon 先生の怒鳴り声 「なんでそんなところに水筒あるの?」 「○○さん、~してって先生言ったよね?」 「落ち着いてください!」 「○○さん!」 「授業受ける気がないなら出ていきなさい!」 これらは…

負の連鎖を断ち切る

虐待をこえて、生きる―負の連鎖を断ち切る力 作者:伸子, 内田,まりこ, 見上 新曜社 Amazon 負の連鎖を断ち切る 「負の連鎖を断ち切る」ことは、私がスクールソーシャルワーカー(以下SSW)として大事にしていることの一つです。 虐待や貧困などの負の連鎖を…

「将来自立したいです」

言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える (幻冬舎単行本) 作者:樺沢紫苑 幻冬舎 Amazon 不登校だったAさん 「将来自立したいです。親の世話にはならないように。」 そう面談で話してくれたAさんは、2年前には全くの不登校でした。 当時、私との面談の時だ…

大声で叱責する教員に支援的にかかわる

不良少年は、不適切な叱りで生まれる!: 子供が非行にはしるメカニズム 作者:太田黒 茂助 Amazon 大声で叱責する先生 A校の低学年のB先生が大声を張り上げていることが気になりそのクラスを見に行くようになりました。 私が見に行くと、大声を出さなくなる先…

先生からSSWへ「話しかけてもいいですか?」

教師のためのスクールソーシャルワーカー入門―連携・協働のために 作者:竹鼻ゆかり,馬場幸子 大修館書店 Amazon 先生たちから話しかけてもらうために 職員室にあえているのは、私に話しかけてもらうためでもあります。 私が職員室にいると、緊急性はないけど…

SSWから先生への「話しかけてもいいですか?」

教師のためのスクールソーシャルワーカー入門―連携・協働のために 作者:竹鼻ゆかり,馬場幸子 大修館書店 Amazon 実は聞き耳を立てている 私は校内巡視をせず職員室にいるときもあります。 目的を持って、あえて職員室にいるのです。 その一つは、職員室での…

選択性緘黙の子の声を聞けた!

子どもの心の声を聴く――子どもアドボカシー入門 (岩波ブックレット) 作者:堀 正嗣 岩波書店 Amazon 『子どもに選ばれる大人となる』 私がスクールソーシャルワーカー(以下SSW)として活動する中で大事にしていることの一つに、『子どもに選ばれる大人となる…

『ブロークンレコードテクニック』を今更知る

叱らずほめて伸ばす ポジティブな特別支援教育 子どもの行動変容を促すアプローチ (特別支援教育サポートBOOKS) 作者:髙津 梓 明治図書出版 Amazon 校内巡視 私は面談等入っていない時間帯は校内を自由に見回っています。 校舎内はもちろん、昼休みは運動場…

4年目にして初の『SSWだより』

SSWの知名度を上げるために 私はスクールソーシャルワーカー(以下SSW)になり4年目となります。 この仕事に就いて感じたのは、SSWをわかってくれている人の少なさ。 一般的に知られていないことはもちろんのこと、学校内でもわかってもらえてないな、と感…

「そのプリント難しいと思う」を伝える

生徒指導提要(改訂版) 全文と解説 学事出版 Amazon 自由に見て回る 活動の一つに「校内巡視」があります。 私の勤務する学校は学校内を自由に見て回らせてくれます。 他の自治体で活動するスクールソーシャルワーカー(以下SSW)は、勤務日のスケジュール…

いじめには迅速に対応の『迅速』って?

ヒトは「いじめ」をやめられない(小学館新書) 作者:中野信子 小学館 Amazon いじめの初期対応はその日のうちに 私が勤務する日、偶然、これは「いじめ」として緊急に対応しなければならない案件だな、と思うことが耳に入ってきました。しかも、勤務時間終…

「公認心理師受験→不合格」から得たもの

受験姿勢の甘さ 第5回公認心理師をひっそり受験しましたが不合格でした。 第5回までは実務者への措置ということで、大学院で学んでいなくても受験でき、私にとって最初で最後、実務者の受験資格に「実務が5年以上」というのがあり、それを満たすのが第5回…

「経済的事情で私大に進学できない」は貧困?

子どもの貧困―貧困の連鎖と学習支援 作者:宮武 正明 みらい Amazon 情報を得るために スクールソーシャルワーカー(以下SSW)としてお子さんたちの環境を整えるためには、学校アセスメントは欠かせません。 そのために、職員室にいて先生方の様子を見たり聴…

「愛情がない⇒虐待」ばかりではない

児童虐待: 現場からの提言 (岩波新書) 作者:川崎 二三彦 岩波書店 Amazon 虐待者の一番は実母 子どもに虐待をする親は、子どもに対して愛情がない、という思い込みを持つ方もいらっしゃると思います。 虐待とは無関係に生きてきた方々には、どんな人が虐待す…

親からの暴力を伝えてくれる子ども

過去の暴力を伝えてくれたAさん 中学生のAさんは、小学校6年生までは親からの暴力がありました。 私はそのことをAさんとの何度目かの定期面談で知ることとなります。 そして、その暴力のことを私以外の大人に伝えたことがあるのかきいてみると、私に初めて…

「死にたい」という小学校低学年

改訂版 教師にできる自殺予防: 子どものSOSを見逃さない 作者:髙橋聡美 教育開発研究所 Amazon 死にたいという小学生 「死にたい・・・」 私はこの言葉をお子さんから直接聞くことがあります。 それも小学校低学年です。 「死ぬ」という言葉が昔に比べ軽いも…

アウトリーチが叶わない

要支援者のもとへ出向いて支援 私たち福祉職は、もうどうしようもない状況にある支援が必要な人にこそ、支援に繋がりにくいことを知っています。 だから、福祉職は「アウトリーチ」を実践しています。 アウトリーチとは、私たち支援者が要支援者の生活圏へ出…

来談者中心療法的な面談の限界を体験

保護者さんはお子さんの「環境」 スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の業務の一つに「子どもの環境にはたらきかける」というのがあります。 子どもにとっての環境として、その子の親、兄弟、同居の親戚、学校の先生、友達、近所の知人など、こういっ…

ワンダウンポジション

プロカウンセラーが教える対人支援術―心理・医療・福祉のための実践メソッド 作者:大谷 彰 金剛出版 Amazon クライエントの位置まで下がる 私たち対人支援の専門職は、ワンダウンポジションを心がけることがクライエントと良い関係を構築し支援をスムーズに…

予定通りにはいかないSSWの仕事(と私事)

1時間ほどの勤務の予定が その日は、2校での勤務でした。 始めにA校へ。 A校は今年度に入り登校を渋っているお子さんがいて、そのお子さんの保護者さんの相談にのってあげてほしいとの依頼を受けました。 相談に乗る前にお子さんの登校の様子を観察させて…

SSWを支援員扱いする先生

SSWは支援員に見えてしまう スクールソーシャルワーカー(以下SSW)は先生方に支援員のように見えている、というのがあるようです、 SSWは困難を抱えたお子さんの直接支援として、興奮状態のお子さんを落ち着かせるために一緒に居たり、別室登校(注1)のお…

頼ってもらえるから頑張れる

A校の事情 年度末、私の担当のA校のスクールカウンセラー(以下SC)が学校の予想に反して辞めてしまいました。 SCの配置については、私の勤務する自治体では県が行っています。 聞いたところによると、一つの学校に最大6年勤務し、最低3年は勤務してほしい…

事務処理上は終結だけど気持ちの上ではできない事例

不登校ではなく登校拒否 「学校へ行く意味が分からない。」 と言ったAさんは、登校を拒否していました。 Aさんの保護者さんは、私たちの前で穏やかな口調で親として学校へ行ってほしいこと、なぜ行ってほしいと思うかなどを丁寧にAさんに説明していました。 …

安心して終結できた事例

一筋縄ではいかない 私たちスクールソーシャルワーカー(以下SSW)のかかわる案件は、 いろいろな事柄が絡み合っているようなことが多いです。 例えば、片親、その親が体が弱く働くことができない、 働ける子どもが生活費を稼ぎ、まだ働けない子どもが家事や…

保護者さんより先に涙ぐんでも気持ちを戻す

スクールソーシャルワーカーも面談します スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の仕事の一つに保護者さんとの面談があります。 スクールカウンセラー(以下SC)に相談する、というのはだいぶ根付いてきていて、忙しいSCさんだと、予約がなかなか取れない、…

緊急保護者会の出席も業務の一つ

緊急保護者会はない方がいい お子さんが多大な迷惑をかけてしまい、被害を受けたお子さんたちの保護者さんが学校へ声を上げると、「緊急保護者会」というものが開かれることがあります。 緊急保護者会に出席したい人なんて一人もいないと思います。 緊急保護…

あいさつ回り

あいさつ回り タイトルをあいさつ回りにしてふと思いました。 あいさつ回りって、会社勤めの人はするのでしょうか? 私の人生の中で「あいさつ回り」は、仕事では、家庭児童相談員をしていた時とスクールソーシャルワーカー(以下SSW)をしている今、日常生…

急遽面談、急遽同行支援

意欲が強みのAさん Aさんとは定期的に面談をしています。 Aさんは発達特性があり、いろいろな場面で困難さがあります。 でも、Aさんには意欲があります。それはAさんの最大の強みの一つだと思っています。 その日はAさんの保護者さんと面談で来校したのです…

アドボケイトを大事にする~子どもの思いを聴き代弁する~

誰にも言えない思いを聴く 子どもは、親には言えない、先生には言えない、友達には言えない、といったことがあります。 その理由は様々で、わかってもらえないだろうから、とか、怖いから、とか、心配かけたくないから、などがあります。 スクールソーシャル…