スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

黒ずんだ私の名刺が支え

黒ずんだ私の名刺が支え

「これ、支えになった。」

と言ってAさんが筆箱から取り出したのは、

私の職名と名前が書かれた黒ずんだ名刺でした。

私はAさんに、付箋に論語とその意味を書いて渡したことがあります。

てっきりそれかと思い、

あれ?付箋に書いたと思ってたけど、名刺の裏に書いたんだっけ?

と思い、名刺の裏を見せてもらったのですが何も書いてありませんでした。

なぜか、単純に名刺を渡したようなんですが、

いつ、なぜ渡したのか、思い出そうにも思い出せませんでした。

Aさんは最近また不調でしたが、私は何もしてあげられていない、

と、実はちょっと落ち込んでいました。

私の名刺がAさんの支えになっていたことを伝えてもらい、

自分が知らないところで役に立てていたことが分かり

「嬉しくて涙出そうだよ!」

と言って涙ぐんでいました。

地元の中学に進学すれば私が担当

そして、地元の中学に進学すれば、

私が引き続き担当スクールソーシャルワーカーであること、

話しがしたくなったら先生に言ってくれれば中学に出向くことを伝えました。

すると、

「もし、他の中学に言ったら話せなくなるの?」

ときかれたので、

「本当は話せなくなっちゃうんだけど、SNSで話しかけてくれれば応えるよ。」

と伝えておきました。

担当でなくなっても…

本当はダメだとわかっていますが、私を必要とするお子さんには、

私を必要としなくなるまでは関わっていたいと思っています。

私がいないとダメ、という思いで関わるわけでは決してありません。

そんな依存的な関係にすることが良いとはこれっぽっちも思っていません。

必要としている今を支えるという意味で関わるのです。

のりしろをもって誰かにつながると良いという思いを持ちつつ、

私のできる範囲で誰かにつなげることもしていきます。

そして、私の関わったお子さんたちが、

いつかちゃんと私の事なんて忘れてしまうくらいに幸せになれる、

そう信じて関わっています。

~追記~

書き終わって思いました。

あれ?論語はどこへいってしまったんだ?

筆箱から出てこなかったし、話題にもならなかったから、

どっかいっちゃったんだろうな~。

私が必要と思って渡した論語は無くなり、

渡した本人が忘れていた名刺がAさんの必要なものとなっていた、

こちらが必要と思うものと、

お子さんが必要と思うものは違ったようです。

なんだかクスって笑えてしまいました。