スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

安心して終結できた事例

一筋縄ではいかない

私たちスクールソーシャルワーカー(以下SSW)のかかわる案件は、

いろいろな事柄が絡み合っているようなことが多いです。

例えば、片親、その親が体が弱く働くことができない、

働ける子どもが生活費を稼ぎ、まだ働けない子どもが家事や親の世話をする、

経済的には不安定で生活保護を勧められるも車を手放したくないために断る、

そして子どもは登校が不安定になる、といったことが起こります。

学校から見えやすい事象は登校状況だけですが、

お子さんや保護者さんから教えてもらうことで家庭の内情がわかるのです。

Aさんの進学は当たり前ではない

Aさんは卒業後の進路を迷っていましたがなんとか進学先が決まったのでした。

Aさんはヤングケアラーを自認するも、保護者はそう思っていないといったご家庭です。

私は数年にわたりAさんと定期面談をすることでAさんをエンパワメントしてきました。

Aさんは小学生の頃は不登校で、中学生になり不安定ではあるけれど登校できる日が増えたのでした。

Aさんのいろいろな困難に対し、担任だけが対応するのではなく、SSWも含めて学校や子ども家庭課などの行政もかかわり支えてきたからこその結果だと思っています。

いわゆる普通のご家庭で育った方は、高校に進学することは当たり前です。

しかし、こういった困難な状況にいるお子さんにとっては進学は当たり前ではないのです。

もし、担任だけで抱えていたら、問題が重すぎて抱えきれず、Aさんはエンパワメントされることなく引きこもってしまう可能性もあるのです。

進学先でもSSWと面談

そして、Aさんは、進学した学校でさっそくSSWと面談したということを知りました。

私はAさんとの面談時に「高校にも私みたいな人いるからね!SSWと話したい!って言えば話せるからね!」と伝えてあったのです。

その言葉を忘れていなかったことが本当にうれしかったのでした。

そして、私はずっとAさんをエンパワメントすることに重きを置いていたけれど、結果として「希求力」がついていたことも本当に良かったと心から思いました。

福祉の終結は難しい

福祉のケースは終結が難しいです。

困難な状況は簡単には抜け出せないからです。

ただ、児童福祉のありがたいことは、そのお子さんが親が生きてきた道を反面教師として生きていくことで、自分が子どもの頃置かれていた状況とは違う家庭を築き、自分の子ども時代とは違う子ども時代を自分の子どもにはさせることができることだ、と私は思っています。

一人でも多く、今困難な状況にあるお子さんが自分が納得いく人生を歩むことができるよう今後も支援していきたいです。