スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

さりげなく繋がる

スクールカウンセラー(以下SC)は相談意欲を既に持った方を対象としますが、

スクールソーシャルワーカー(以下SSW)は相談意欲がない方たちと、ある意味介入的につながっていくこともしています。

 

例えば、お子さんが登校を渋っているがお母さんに相談意欲がない場合、

SSWはお母さんがお子さんを送ってくる時間に合わせ、

さりげなく下駄箱付近にいるようにします。

さりげなく話しかけ、なんとなく立ち話にもっていき、なにげなく近況を聴くことで、

お母さんのストレスの軽減、また、情報を収集をするのです。

 

特に子どもの場合、自分から相談したい、とはなりにくいものです。

また、既にSCと何度か面談するものの、

SCの勤務回数が少ないため状況の好転が遅々として進まないこともあります。

そんなときも、SSWは自然にお子さんに近づき、

そのお子さんを観察させてもらったり、思いを聴いたり、

時間を共に過ごすことで信頼関係を築いていったりもします。

そして、SSWは臨機応変に動けることを強みに、

そのお子さんに合わせて来校したり、家庭訪問をしたりということもしています。

 

過日、今までほとんど依頼を受けていなかった学校から、

まずはケース会議に出席してほしいというご依頼がありました。

このお子さんは、

「登校が安定しないこと、希死念慮があったことが心配」

とのこと。

すでに、お子さんも両親もそれぞれSCとは面談しているけれど、SSWの力も借りたい、

とのことでした。私は、

「SSWはお子さんの話を聴くことができること」

「場合によっては家庭訪問ができること」

「学校の要望で来校できること」

を伝えさせていただきました。

学校は、さっそく来校の依頼をしてくださいました。

そして初日、SSWが到着する数分前に欠席連絡が入ったとのこと、

この日、給食を頼んでおいたので、給食を食べて帰りました。

こういった「不発」もあります。

先生方は申し訳なさそうにしていましたが、

私はSSWとしてそういったこともあるのが当たり前と思っています。

2回目の来校日、いつもなら登校する時間にその子は来ず、

来ないかもな~っていう雰囲気になっていたところ、

ひょこっと保健室にやってきました。

背中は丸まり、目はうつろ、よくこんな状態で登校してきたと思い、

心の中で労っていました。

なぜ言葉にしなかったのか、

そういったことを言われるのが苦手なお子さんもいるからです。

そのお子さんがどんなお子さんかを私はまだわかっていませんので、

まずは積極的な声掛けはせず観察させてもらっていました。

そして、保健室の先生がその子さんに私を紹介してくださり、

6限は私とその子の二人でその学年の合同授業を見学していました。

体育館の片隅で、その子はいろんなことを話してくれました。

哲学的な話から、自分の過去、最近もらってうれしかったものなど、

幅広く話してくれました。

聴いた内容の一部を先生方に伝えると、そんなことまで話したのかと驚いていました。

私はSSWとして、どんなお子さんんの話も聴ける人でありたい、と意識しています。

専門職として技を駆使して話を聴いているのです。

しかし、それを分かってくれる教職員はほとんどいないと思います。

「やっぱり女の人には話しやすいのかね~。」

なんて言われ、がっくりとし、心折れたこともあります。

最近は私もたくましくなり、教職員がわからないのは当然、と切り替えています。

それより、「そんなことまでその子は話したんだね。」の言葉をありがたく受け取り、

そのお子さんのウェルビーイングを高めていきたい、そんな思いでいます。