スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

アウトリーチが叶わない

要支援者のもとへ出向いて支援

私たち福祉職は、もうどうしようもない状況にある支援が必要な人にこそ、支援に繋がりにくいことを知っています。

だから、福祉職は「アウトリーチ」を実践しています。

アウトリーチとは、私たち支援者が要支援者の生活圏へ出向き相談支援を行うことです。

例えば、不登校でそのお子さんが医療ともつながっていないとき、フォーマルなつながりは学校だけになります。

そんなとき、私たちスクールソーシャルワーカー(以下SSW)は、そのお子さんのお宅を訪問しお話を聴かせていただきます。

そして、そのお子さんの思いを実現できるよう一緒に考えさせていただくのです。

不登校の子の義務教育終了後が心配

義務教育の間は学校がそのお子さんを気にかけてくれています。

しかし、義務教育を終えると、学力が相応についていない中、押し出されるように卒業となってしまいます。

その後、就労や進学に繋がればよいのですが、それがないとなるとそのお子さんは家庭の外とのつながりがなくなってしまいます。

いまどきはPCで世界各国とつながれるという強みもありますが、やはり、フォーマルな機関ともつながっている方が良いように思うのです。

私は、義務教育修了時にどこかフォーマルな機関と繋がっているかを心配します。

力のない家庭に育つBさん

私は過日、知人であるAさんとの会話の中で、偶然自分の担当範囲のBさんの保護者さんが困ってることを知りました。

Bさんの保護者さんは学校に拒否的です。学校はBさん親子に対し無理解だと感じているようです。

こんなとき、SSWの活用は有効だと思うのです。

SSWは学校職員ですが、教員とは違った視点を持ってお子さんのことを考えることができます。

私は、Bさんの保護者さんに「SSWが一緒に考えるって言ってるよ」と伝えてほしいことをAさんにお願いしました。

Aさんはさっそく伝えてくれたのですが、Bさんの保護者さんは学校に連絡するのが嫌、ということでした。

「それなら私から学校に伝えることもできるよ」と、またAさんに伝言をお願いしたのですが、それも拒否。

AさんはBさんが心配で間に入ったのに、Bさんの保護者さんが結局動かないことにちょっと怒っているようでした。「Bさん保護者さんは、結局Bさんの事考えてないんだよ」と。

教育委員会のSSW担当に相談するが撃沈

私はBさんが心配です。

Bさんの保護者さんのように、お子さんのために動けない保護者さんはいます。それを支援するのが福祉職であるSSWだと思うのです。

保護者さんが考えられないなら、誰か他の大人たちが一緒に考えてあげる必要があります。

そして、こういう時こそ「アウトリーチ」だと思うんです。私は思い切って教育委員会のSSW担当にBさんのことを相談しました。

私はSSW担当は一緒に問題解決のために動いてくれることを期待していましたが、期待は外れてしまいました。

リスクが大きい、公私の線引きをした方がいい、と、取り合ってもらえなかったのです。

本当は「アウトリーチしたいのにさせてもらえないんですか?」と言いたかったのですが、今回はやめておきました。

Bさんに課題があることに気づいている、また、Bさんは義務教育最終年度であるのにアウトリーチできないもどかしさ。

唇を嚙む思い、とはこういう時に使う言葉なんだと実感しながら、別のやり方で何かできなか模索中です。