スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

来談者中心療法的な面談の限界を体験

保護者さんはお子さんの「環境」

スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の業務の一つに「子どもの環境にはたらきかける」というのがあります。

子どもにとっての環境として、その子の親、兄弟、同居の親戚、学校の先生、友達、近所の知人など、こういったお子さんに関係する「人々」もそのお子さんにとっての環境と捉えます。

なので、あるお子さんが問題行動を起こしてしまった時、私たちSSWは、そのお子さんにかかわる先生方やお子さんの保護者さんのかかわり方に着目し、支援することがあります。

例えば、そのお子さんの保護者さんと面談することで、お子さんへのかかわり方を変えてもらうなどするのです。保護者さんとの面談は「子どもの環境に働きかける」ことになるのです。

私(SSW)が困る

その日、Aさんの保護者さんと面談がありました。

Aさんは既に発達障害の診断を受け、病院を定期受診し、巡回相談にもかかっており、通級指導教室にも通っていました。

なので、学校では、以前に比べ本人は頑張っている、という良い印象を持っています。

しかし、家では困りごとがあるということで、私がその話を聴くことになりました。

お話を聴かせていただくと、保護者さんは既にいろいろ考えて行動していること、家庭で起きている事象を合理的に解釈していることなどが伝わってきました。また、障がいの受容もできているように感じました。

ただ、受容はできてはいるけれど、かかわり方には悩みが尽きないようでした。

もうすでにいろいろできている保護者さんなので、正直保護者さんが自分にできることを自分の中に見つけることは難しいと感じました。

しかし、いつも通り出過ぎた助言は封印し、保護者さんが既にできてることを承認するようなまとめをお伝えたところ、保護者さんの表情の曇りは晴れませんでした。

思い切って助言してみた

実はこのとき、面談が始まってから30分くらいしかたっておらず、まとめっぽく話してしまったし、でも、保護者さんの表情は晴れないから終われないし、どうしよう、と私は内心困っていました。

仕切りなおすかのように、改めて保護者さんの大変さを聴かせてもらい、初回の面談でここまで言って良いのかな?と躊躇しつつ、Bさんの家庭での問題行動がさらに悪化することを予防する観点で、警察や児童相談所の名前を出してみました。

やはり、始めは気乗りしない様子ではありましたが、最後にはやってみます!助言もらえて良かったです!と、晴れやかな表情で帰られたのでした。

観察とアセスメントが重要

SSWの面談は、心理学でいう「来談者中心療法(注1)」が根底にあるやり方がほとんどです。

SSWとつながるお子さんや保護者さんはエネルギー切れになっていることが多く、助言を受け入れそれを行う気力などない場合が多いのです。

今回は珍しく力のある保護者さんであったので助言することが良い方に傾きました。

助言するのかしないのか、どちらが良いというのは、やはり目の前のクライエントさんをよく観察し、アセスメントすること(見立て)が重要だということ、その結果、何を求められているかを考え積極的な姿勢で面談することも時として必要、も、今回のことで改めて学びました。

 

 

注1 ロジャースが提唱した非指示的な心理療法