クライエントの位置まで下がる
私たち対人支援の専門職は、ワンダウンポジションを心がけることがクライエントと良い関係を構築し支援をスムーズにするために必要と言われています。
ワンダウンポジションとは、その言葉通り一段下がった位置のことです。
対人支援の専門職である自分は、クライエントさんとは対等であろうとしています。
しかし、クライエントさんは、ご自分を支援される人、と、私たち支援者より下だと無意識に感じていらっしゃることが多いようです。
専門職は、その差があることを理解し、既に下がった位置にいるクライエントさんの位置まで下がることで対等を感じてもらい、支援をスムーズにする、こういったためのワンダウンポジションだと私は解釈しています。
学校もクライエント
スクールソーシャルワーカー(以下SSW)にとっては、学校もクライエントです。
(と、はっきり学校には伝えませんが。)
なので、学校に対して常にワンダウンポジションは意識すべきことと思っています。
子どもに不利益になりそうなことに気づいた時、一段下がった位置から伝えるよう心掛けています。
しかし、残念なことに「学校に対するワンダウンポジション」の考えは全てのSSWに浸透しているわけではないようです。
SSWは、学校に福祉的視点を伝えることも活動の一つです。
しかし、その学校への伝え方が、正論を振りかざすような言い方になり、学校をさらに疲弊させてしまっているSSWもいらっしゃるようです。
このことを耳にし、悲しい思いになりました。
多様性の観点から、SSWの個性を否定するつもりはありません。
ただ、SSWがどんな人なのかまだまだ学校に浸透していない中、正論を振りかざすようなSSWに出会った学校は、SSWに対し良い印象は持たないように思うのです。
学校に対してのワンダウンポジションも有効
私は、「いろいろ教えてください。」と先生方に言っていただけることがあります。
そんな時は、「いえいえ、教えられるような立場じゃないです~。一緒に考えさせてください~。」と答えるようにしています。
とある日、A校の管理職にもいつものように答えたら、
「そういう人の方が信用できる、任せて!なんていう人の方が信用できない。」
と、ぽろっと話してくださいました。
(「任せて!」と言ったその方に痛い目にあったことでもあるのかも?と勝手に想像)
私はこのワンダウンポジションの受け答えで、A校の管理職とのラポール形成(注1)に成功したと思っています。
ワンダウンポジションの有効性を感じた一場面でした。
注1 信頼関係を築くこと。もとはフランス語で「橋をかける」という意味だそうです。