母親の苦悩の言葉
「首をタオルで絞めてあげようかと思ってしまう…
児童相談所に相談した方が良いのでしょうか…。」
面談の途中、うなだれて伝えてくれた苦悩。
この言葉を伝えてくれたお母さんは、ご自分も母親から虐待を受けていたようです。
「自分が母親から言われたように言ってしまう」
「キレて蹴ってしまった」
「ネガティブな私がポジティブな子に育てるなんてできない」
苦悩の言葉は続きます。
私はスクールソーシャルワーカー(以下SSW)としてその言葉を受け止めます。
「そうなんですね。」と。
寄り添うことで癒す
SSWは寄り添う人だと思っています。だから、すべてをいったん受け入れます。
寄り添うことで何をしているかと言うと、お母さんの心を癒しています。
人は話すことで癒され、共感されること、受容されることでさらに癒されます。
さらに、一人じゃない、と思うことでも癒されるのです。
SSWはお母さんを癒すことで、お母さんの子どもへの対応に変化が生まれることを願っています。
虐待の連鎖を断ち切りたい
虐待について教員や保護者と話す中で、容認する声を聞くことがあります。
昭和に子ども時代を過ごした世代は、大人からの暴力や威圧など当たり前でした。
2018年セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが発表した調査結果(注1)では、約6割が「体罰を容認する」と答えているそうです。
しかし、そういった不適切な関りは子どもの脳を傷つけてしまうことを小児科医の友田明美医師が証明しています。
厚生労働省の『愛の鞭ゼロ作戦』という虐待防止啓発のリーフレット(注2)にも友田医師が提供した脳の画像が掲載されています。
しかし、『虐待は脳を傷つける、百害あって一利なし』であることを知らない人がまだまだ多いと感じています。
こういった新しい知識を伝えていくこともSSWの仕事の一つだと思っています。
それは、虐待の連鎖を断ち切ることにもつながると信じてこつこつとやっています。