スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

父の不倫

父の不倫疑惑

Aさんはお父さん子でした。

このご家庭はお父さんが主夫をしていて、お母さんが夜遅くまで働いていました。

Aさんを「おかえり」と迎えてくれるのはお父さんでした。

ある日、Aさんがお父さんが使わなくなった携帯電話で遊んでいると、利用履歴からお父さんが不倫しているかもしれないやりとりを見つけてしまいます。

幼かったAさんはこのことをすぐお母さんに伝えました。しかし、その後も変わりない日々が流れていきました。

思春期の変化

数年経ち、Aさんはお父さんのことがとても嫌になります。思春期に入ったということもあったのかもしれません。

数年前に見てしまった携帯のことなどを担任の先生に話すことができました。

担任の先生は管理職に相談し、家庭の問題だからスクールソーシャルワーカー(以下SSW)にAさんの話を聴いてもらった方が良いと判断し、私に繋がりました。

母子それぞれと面談

Aさんは数年前携帯を見てしまった時のことから今までのこと、そして自分の気持ちや考えを話してくれ、これをお母さんに伝えてほしいと私に話してくれました。

SSWの仕事の一つに「弱者のアドボケイト(代弁)」があります。私は担任の先生と共にお母さんと面談し、Aさんの思いを伝えることにしました。

お母さんはすべてを知っていました。Aさんは既にお母さんに話すことができていたのです。

では、なぜ私に伝えてほしいと言ったのか、やはり、状況が変わらないことにもやもやし、私がお母さんに伝えることで何か変わるかも、という願いがあったのかもしれません。

お母さんは、Aさんの気持ちはわかる、しかし、うちの家庭はこの形で成り立っている、自分は働きたいし夫はそれを主夫として支えてくれている、これが我が家の形、夫が不倫めいたことをしているのは承知している、気づいていないふりをしている、別居も離婚もする気はない、と話してくれました。

辛い日常に寄り添う

面談後、担任の先生は、「Aさんがかわいそうだ」と辛そうにしていらっしゃいました。一方、SSWは「仕方ない」と考えます。

三者から見てかわいそうな状況が、当事者にとっては日常なのです。日常を支えるのが社会福祉士です。SSWがAさんと辛さを分かち合うことでAさんを支え、Aさんが成長することでこの辛さを乗り越えるときが来ることを信じ、寄り添っていきたい思いでいます。