スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

キャリブレーションを生かす

キャリブレーションを業務に生かす

私はNLPラクティショナーの資格を持っています。そして、そこで得た知識をスクールソーシャルワーカー(以下SSW)の業務に生かしています。キャリブレーションもその一つです。キャリブレーションとは、ざっくり言うと「観察し気づくこと」です。キャリブレーションを意識することで、コミュニケーションが円滑になったり、リフレクションに繋がったりということを実感しています。

校長先生からのご相談

その日は、校長先生からAさんのお母さんと連絡が取れないことを相談されました。Aさんは適応指導教室に毎日通っています。そして、私が月に1回程度そこで会い、短時間ですがお話を聴かせてもらっています。Aさんは私に心開いてくれており、良いことや辛いこと、困っていることなども話してくれます。限られた時間でAさんをエンパワメントするためにキャリブレーションし、その時に応じた言葉がけをしています。私としては、この時間にAさん家庭状況を確認できていたので、Aさんのお母さんから話を聞くことを重要視していませんでした。

SSWとして失敗

私としてはお母さんから話を聞く必要性を感じていなかったものの、校長先生からのご相談に応えたいと思い、お母さんが一人で家にいそうな時間帯に私から電話することにしました。すると、なんとお母さん電話に出てくれました。出た瞬間の声のトーンは下がっていましたが、私が名乗ると一瞬声のトーンが上がりました。しかし、その後の様子を伺うと、言葉少なく「変わりない」「大丈夫」しか伝えてくれませんでした。また、沈黙の時間もありました。いろいろあったことをAさんから聞いて知っている私としては、そのことをこのタイミングで話してくれないことから、「お母さんは今はSSWに話をしたくないのだ」と感じました。

正直、この電話をした後へこみました。以前は毎週家庭訪問し、お母さんも心開いて話してくださっているように感じていました。電話で話すこともありましたが、もう少し言葉が多かった記憶があります。お母さんが私の電話に対して良い思いを持たなかったことは明白で、自分の行動は失敗だったと落ち込みました。

校長先生もお母さんも

校長先生にお母さんが電話に出てくれたことを伝えると表情がぱあっと明るくなり、かなり喜んでくださっているのが伝わりました。一方で、私の気持ちは同じように明るくとはいきませんでした。お母さんに電話をするという行為は、校長先生には寄り添うことになったけれど、Aさんのお母さんには寄り添えていなかったと感じたのです。私がとるべき行動は、自分が電話するのではなく、校長先生とお母さんが繋がりやすくなる方法だったと反省しています。私のとっては校長先生もお母さんも両方寄り添うべき方々です。お二人ともにとって良い方法を考え、実行できる力を付けたいと思います。