スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

30分の研修のための10時間の準備

研修を提案

私の担当校で、新年度早々にお子さんとその保護者さんとの関係が悪くなり、

辛い1年間を過ごされた先生がいらっしゃいました。

私は立場上、まず先にお子さんや保護者さんを気の毒に思う一方で、

やっぱり先生も気の毒だと思いました。

そして、こうしたことを未然に防ぐためには、

やはり、先生方に聴き上手になっていただき、

お子さんや保護者さんと良い関係を築くことができるようになってもらうのが

有効なのではないかと思い、「聴き方研修」を管理職に提案し続けました。

そして、その年度内にはできませんでしたが、

次年度の年度初めに機会を作っていただけました。

研修時間は30分

 しかし、その持ち時間はなんとたったの「30分」。

 一般的に傾聴講座の基本講座をする場合でも、短くても90分は必要だと思うのです。

難しいとは思いましたが、私が提案して作っていただいた機会ですので

絶対に、「やってよかった!」と思ってもらう研修にしたい!と強く思いました。

そして、30分しかないのなら実践練習だけにしようか、

いや、先生方に聴く研修の必要性も伝えたい、

やはり、なぜ必要かを理解しないで実践練習をしても身につかない、

と考え、結局、30分の研修内容は、

・なぜ教員が聴く研修を受けなければならないか

・聴く技術の説明

・実践練習

としました。

最低でも90分はかけたい研修を30分に濃縮するのは至難の業です。

立案から推敲、予行練習を含め、結局10時間くらいかけ、

納得する30分に濃縮しました。

まるで、植物からアロマエッセンスを取り出したかのようです。

有効成分だけを抽出し、お届けする、自分なりに試行錯誤でした。

満足できた研修

そして、研修当日。

必要性の説明では先生方の納得する表情が見て取れました。

また、聴く技術の説明をメモする先生もいらっしゃいました。

実践練習は盛り上がり、技術を使うと違う、ということを体験できたようでした。

何度も時間を計って作っておいた台本から

ついそれて話をつけ足してしまったせいで5分ほど超過してしまいました。

しかし、私の頑張りが伝わったのか、研修終了後、

笑顔と大きな拍手をいただきました。

さらに、「昨年度もやってほしかった。」や

「なぜ(聴く技術が)必要かにものすごく納得できた。」の声をいただき、

心の底から嬉しく、帰りの車の中で嬉しすぎて涙がにじみました。

聴き上手の先生は子どもにとってプラスの環境

私はできるだけ多くの先生方に聴き上手になっていただきたい思いがあります。

先生が聴き上手になると、

子どもたちにとって絶対プラスの環境になります。

そして、先生たちのとってもプラスになります。

子どもを取り巻く環境がプラスのループになっていくことでしょう。

この学校で今後毎年継続していただけたらと思っています。

また、他の学校でも、

「先生が聴き上手になると子どもにとっても先生にとってもプラス」

ということをじわじわと広めていけたらと思います。