スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

目に見えない支援・目に見える支援

目に見える支援

Aさんは昨年度からほとんど教室に入れなくなりました。

昨年度は、「私はB先生のせいで教室に入れません!」

と廊下から教室に向かって叫んだ、ということもあり、

そこを配慮していただけたのか、

昨年度の担任の先生はAさんの担任ではなくなりました。

こういった配慮はスクールソーシャルワーカー(以下SSW)からすると

とてもありがたいです。

変えられる環境を変えていくことでそのお子さんの変化を期待する、

それが私たち社会福祉士の望みであり活動だからです。

しかし、当然ながらSSWにそんな権限はありませんので、

SSWができることはお子さんの思いを先生方に伝えるアドボケイトになります。

今回のAさんの場合は教室で叫んでいますのでアドボケイトをする必要はなく、

先生方にAさんのその言葉を受け取って配慮してほしいことを伝え、

その後は新年度担任が変わるのを祈るのみ、でした。

目に見えない支援

とはいえ、物事は簡単ではなく、

Aさんは担任が変わったにもかかわらず教室には入りませんでした。

こういったとき、担任が変わったのに入れないのは何故?となりがちですが、

今年度の担任のC先生は、6月くらいに入れるようになるかな?

くらいのお考えだったようです。

私はこのC先生の心持ちもありがたいと思いました。

Aさんにとって安心感が持てるC先生のこの心持ちのおかげで、

Aさんは自分のタイミングを見計らうことができたのではないかと思うのです。

人は一人でできることの限界値にいるとき、

周囲のサポートでそれ以上の力を発揮することができます。

AさんはC先生やクラスメートのサポートのおかげで、

5月のその日教室に入ることができ、過ごすことができたと思うのです。

私はその日Aさんの在籍する学校に勤務する日でした。

C先生は嬉しそうに

「ひろさん、Aさん見てやって!

こっちの階段から行くと教室の後ろから見れるから!」

と教えてくださり、私はしばらくAさんを観察していました。

表情も動きもしなやか、友達とは笑って何かを話している、

これまでしばらくの間教室に入るのを拒否していたとは思えない姿でした。

Aさんの昨年度の様子を知る私からは良い意味でかけ離れた姿に思わず涙腺が緩み、

涙がこぼれそうになったので急いでその場を離れました。

目に見えない支援・見える支援を併せる

Aさんに対する「担任を変える」という目に見える支援と

「担任がAさんを信じて待つ」という目に見えない支援を

併せて対応してくださっていた学校は素晴らしいと思っています。

ここに至るまで何度もケース会議を開いてくださっていたのも

良かったと思っています。

そして、残念ながら、目に見える支援はできているものの、

目に見えない支援ができていないといったケースもあります。

そういったケースに対し、目に見えない支援をどうやっていくか、

やってもらえるようにどう伝えていくかが私の課題です。

教室にいられた後のAさん

Aさんはこの授業の後は「疲れた」といって職員室にいて

支援員さんや私と談笑していました。

そして、

「私今日1日学校にいちゃったよ~。よく頑張った!偉い!」

と自分から言っていたので、

「私もそう思う!」

といって支援員さんと共に拍手を送りました。