スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

教員の笑顔は子どもの笑顔につながる

元気のないAさん

登校を渋り始めたAさんについて、教頭先生から相談されました。

担任のB先生は同じ学年部のC先生にも相談できていたようでしたが、

スクールソーシャルワーカー(以下SSW)に相談されたのは

ほぼ登校できなくなってからでした。

私は一度だけAさんを学校で観察することができていました。

Aさんは少しだけ私と目が合いましたがすぐそらしました。

表情は暗く、たたずまいもなんとなく気力がない感じ、

そして、居眠りを始めたのでした。

登校できなくなったAさん

Aさんが全く登校できなくなり、

B先生はかなり落ち込んだ様子でいろいろな思いを私に話してくださいました。

そして、SSWとしての見立てやできること、

今後の支援の方向性の提案などをお話させていただきました。

話した直後、「すっきりしました!」と晴れやかな表情でおしゃってくださいました。

Aさんが登校していない、という状況は変わっていないけれど、

状況を話すことで課題が明確になり、そこにどうアプローチするかが見えてくる、

先の見通しが立つと人は前向きな気持ちになります。

B先生をエンパワメントできたように感じました。

Aさん宅で話を聴く

Aさん宅で、B先生と、また、私だけで話を聴くことを何度かさせていただきました。

Aさんのお母様は問題意識をしっかり持って下さっていて、

さらに何とかしたい思いを行動に表してくださる方でした。

こんなことをお医者様に聞いてきてくださいね、

とお願いしたことをきっちり聞いてくださいました。

Aさんは学校で自分を苦しめる過去の出来事をいろいろ話してくれました。

その場にはお母様がいました。Aさんは、私に聞いてほしかったのではなく、

きっと、お母さまに自分の辛さをわかってほしかったのだと思いました。

Aさんの笑顔

Aさんの状況が動きました。

平日昼間はほぼ家にいるAさんでしたが、塾や適応指導教室の見学に行き、

平日に外へ出ることに前向きになっていました。

また、最初に会った時とは別人のように目に力があり、

時折私に微笑みかけてくれるようなこともありました。

Aさんは目標が見つかったようで、それに向けて頑張る決意をしたようです。

Aさんのはにかんだ笑顔に私はほっとした思いになりました。

B先生の笑顔

状況が動いたことにB先生はとても喜んでいました。

「ヒロさんに相談してから状況がどんどん動いていって良かったです!」

と笑顔でおっしゃってくださいました。

私がかかわるようになって約1か月半、

担任のB先生から相談を受けてから約1か月で状況が安心できる方向へ動きました。

B先生が笑顔になること、それはAさんの笑顔、

そして、Aさんのクラスメートの笑顔にもつながると思っています。

悪く見えるその事象は必要な事と捉える

C先生から、Aさんが登校渋っている時に

B先生がちょっと子どもに登校圧力をかけているように見えた、

と教えていただきました。

全く登校できなくなったのはそれも一つあったのかもしれません。

しかし、B先生が悪いとは思いません。

結果、いろいろなことが動き出し、

Aさんにとって安心できる方向に動いたのだからよかったと思っています。

振り返り、これってまずかったかな?と思うその事象は、

今の良い状況になるために必要な事だった、と捉えるのが良いと思っています。