不登校ではなく登校拒否
「学校へ行く意味が分からない。」
と言ったAさんは、登校を拒否していました。
Aさんの保護者さんは、私たちの前で穏やかな口調で親として学校へ行ってほしいこと、なぜ行ってほしいと思うかなどを丁寧にAさんに説明していました。
私たちの前だから穏やかに言えたのであり、おそらく私たちのいない日常では、荒々しい口調になってしまっていたのかもしれません。
と言うのも、保護者さんとの面談で、保護者さんは、「つい叩き起こしてしまう、起きないと叩く手がだんだん強くなってしまう」とおしゃっていたからです。
Aさんの保護者さんに限らず、こういった行為はエスカレートしてしまう上、自分がやりすぎていることに気づきにくいものなのです。
面談で話してくれたおかげで、Aさんの保護者さんは気づくことができ、面談後は叩き起こすことをやめてくれたのでした。
後方支援の時期
その後は、私は後方支援となり、担任の先生の話を聴き助言することとAさんの観察が主になりました。
そして日々が過ぎ、気が付くと、Aさんの登校は安定していたのです。
担任の先生とのAさんの情報共有も、今振り返ると、面談直後から徐々に共有すべき内容が減っていっていき、良い感じでフェイドアウトのようになっていたと思うのです。
Aさんは私の存在を気にしてくれていました。
下校時、ほとんどのお子さんが私に気づかない中、ちゃんと挨拶をしてくれるのです。
気持ちの上では支援継続
Aさんは今では中学生です。
担任の先生とはとても良い関係だったので、卒業後も時々小学校に来ていたようです。
私が勤務日だったその日、Aさんは担任の先生に会いに来ていたのでした。
私は全く気付いていなかったのですが、担任の先生が
「ヒロさん、Aさんきてるよ~!」
と声をかけてくれたので出ていくと、
マスクから見えている目元の表情がものすごくよい!
とってもにこやかなんです。
「中学楽しいです!」
と話してくれました。
このケースは事務処理上は終結していますが、私の気持ちの上では支援継続中です。
思春期は、健常のお子さんにとっても困難な時期です。
これからも気にかけていき、何かあった時にはすぐに対応したいと思っています。
Aさんに会って湧いてきた思いと気付き
久々Aさんに会って湧いてきた思い、にこにこしたAさんに全く興味がわかないこの思いはなんなんだろう?と自分で自分に驚いています。
今まで自分は子ども好きを自認していました。
Aさんとの再会のおかげで、私は子どもの全てに魅力を感じているのではなく、困難の途中にあるお子さんのその時期をピンポイントで魅力に感じるんだ、ということに気づきました。
これって、スクールソーシャルワーカーとしてかなり強みになるのでは?と思いました。