スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

納得いかない担当校の変更

方針の変更

私がスクールソーシャルワーカー(以下SSW)の活動をする自治体は、県に登録後、市町がその名簿を見て各SSWに直接連絡を取り採用する、という形です。

私が今勤める市の面接をしてくれた方は、「かかわる方を長期的に支援してほしいので、基本的には勤務校は変わりません。」と伝えてくださいました。

この考え方に至極共感し、この市とご縁があったことをありがたく思っていました。

しかし、教育委員会のSSW担当は数年で異動してしまいます。

面接してくださった方も今はその立場ではなくなり、今は別の方がSSW担当です。当然、SSWを担当する部署の上司も替わりました。

人が変わると方針が変わります。

そして、勤務校を少しずつ変えていく、ということになってしまいました。

細い糸でつながっていたのに…

今回変更となった学区には、数年支援しているご家庭があり、今年度もお願いします、と、保護者からも学校からもお願いされていました。

そんな家庭のある学校が担当ではなくなりました。

変更に関しSSWに状況確認などはなく、どういった意図があっての変更かも伝えてもらえません。

ただ、決まったので引継ぎしてください、だけでした。

私はいくら別の視点をと自分に言い聞かせても納得できません。

思わず話しやすい先生に愚痴をこぼすと、「私たちはコマだから。」と。

先生たちは毎年1年勝負で教育活動をしているのでそれでよいかもしれません。

しかし、私たちは孤立しがちなご家庭と細い糸でつながりながら切れないように長期的な視野で支援しています。

それをこちらから切れ味の良いハサミで切るような真似なんてできるはずないのです。

福祉職がどんな思いでそのご家庭を支えているか、理解してもらえなさを感じ涙が出ます。

最悪を回避したい

私は、家庭児童相談員の時、自殺しようとしたAさんの支援をしました。

Aさんのご家庭はいろいろたいへんで、誰にも相談できなかったAさんは自殺を図ってしまったのでした。

一命をとりとめ入院し、退院前から私が担当しました。

まだ入院中のAさんに、退院後は私たちが担当することを伝えるために会いに行きました。

その時のAさんは、その場で息はしているけれど、生きた屍と言う表現があっているのかわかりませんが、エネルギーのなさを感じました。

こちらの質問に対する反応は薄く、声を出すこともできないので筆談したのですが、筆圧は薄く、線は波うち、Aさんこの状態で退院して大丈夫なんだろうか?と心配になった一方で、Aさんと共に生きよう!と強く思いました。

退院後、Aさんは少しずつ日常生活を取り戻していき、学校にも行けるようになりました。

筆圧が濃くなり、書く文章が長くなり、時には自らメールで相談したり、電話や来所で相談したりといったことができるようになっていきました。

担当校の変更を共に考えたい

子どもはこのようにみるみる変化していくことができます。

しかし、相談できる誰かがいないことで最悪の事態になりかねないのです。

実際、保護者さんは私の継続を望んでいます。それを私はかなえてあげたいのです。

教育委員会は、担当変更は保護者も子どもも成長するチャンス、と言う言い方をしました。

私は、それは安定した家庭のお子さんの場合だと思うのです。

私が年単位でかかわるご家庭は、難しさがあるからかかわっているのです。

担当の変更を変えられないなら、せめて保護者さんもお子さんも安心できるような引継ぎがしたいのです。

年度ごとに担任が替わることすら負担なご家庭もあります。

SSWは年度をまたいでかかわれることが担任との違いであり良さだと思います。

せめて、担当校変更に対し、SSWにケース状況の確認をし、個別の事情を配慮してほしいのです。

それをすることが、子どもの利益を守ることにつながると私は考えます。