スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

教育と福祉の平行線

理解はするが納得できない

担当校の変更に伴い担当できなくなったケースについて、A市教育委員会のSSW担当と話しました。

トータル1時間以上このことで話し合いましたが、結果としては平行線と感じました。

それに、そもそも話し合いでもなく、SSW担当は私の話を聞き流すだけという印象すらありました。

かかわってきたそのご家族が納得いくまで支援したい、それを母が望んでいること、を伝える私に対し、

担当のSSWが替わることがそのご家族の成長を促す可能性にかけて学校に見守りと判断を任せることをよしとするA市教育委員会のSSW担当の意見、

どれだけ話しても交わることはないと確信しました。

さらに、SSW担当は、俯瞰的かつ長期的に見たときに、誰が支援しても支援できる仕組みを作っていくことが大事で、今その最中であると言っていました。そして、これがSSWの成長につながるんだとのこと。

教育委員会の立場として、私たちを指導し成長させなければならないことは理解できました。

では、今私の目の前で困っているその家庭を私たちの成長のために犠牲にするんですか?それでよいのですか?と福祉的立場からは思うわけです。

福祉的立場としては、個別の事情を配慮して欲しい、を伝えることも仕事です。犠牲にすることに納得できるわけがないのです。

寄り添いたい。それが福祉的支援だと思うから

私は、私のエゴでその家族を中3まで支援したいと言っているわけではないのです。

母親に「見捨てられた気分だよ~。」と言われてしまい、それに対し「ごめんね、今日で終わりなんだよ。」なんて言えなかったのです。

もし、私が教員ならば、「ごめんね。」は言えます。そういう立場だから。

しかし、、私はスクールソーシャルワーカー(以下SSW)です。

生活弱者の権利擁護をする立場です。

目の前の「見捨てられた気分」」と言っている人に石を投げつけるような言葉をかけらえるかと言えば、できるわけがありません。

なので、SSW担当に尋ねたのです。

「見捨てられた気分」に対し、私はなんて答えればよかったんですか?と。

するとSSW担当の方は「わかりません。」と。

目の前の弱っている人に「大丈夫、私がそばにいるよ。」と言うのがSSWの仕事の一つだと私は思っていて、だからこそ、「見捨てられた」のお母さんの思いが薄れ、私が支援しなくても大丈夫、と思えるまで、のりしろを持って支援するのでどうだろう?と、お母さんに伝え、お母さんのそうして欲しいの思いを学校にもSSW担当にも伝えたのですが、結局受け入れられませんでした。

生活弱者の辛さへの心からの理解

生活弱者の方々には支援者が必要です。

弱っているその方をわかろうとし、共感的に話を聴き、時には代弁し、エンパワメントする、そういった支援が必要です。

安定したご家庭であれば、家庭内でお互いに助け合うことができます。

また、そういったご家庭には親戚や友達、近所の人などインフォーマルな支援もあり、公的な支援なくとも日常生活に支障なく過ごせます。

しかし、不安定なご家庭は孤立しがちです。それを公的ないろいろな機関につなげ、孤立しないようにするのもSSWの仕事です。

それは、容易ではありません。

孤立しがちな家庭には、そうなる要素があります。

保護者さんの中には、特性や育ちの上での辛さがあるために他人とつながることが難しい方々がいるのです。

教員の支援とSSWの支援の違い

人とのつながりが難しい方と細い糸でつながり、それを少しずつ太くしながら、その太い糸の一部をほかの人に手渡していく、それをいくつも作っていく、そして、私がその糸を手離したとしても、他の人が握っているから大丈夫、というのが福祉的支援であり、糸を太くするために、共感的に話を聴き、寄り添い、配慮することが必要であると考えます。

学校は、以前に比べ支援的にかかわってくださるようになりました。

担任が一人で抱えるのではなく、チームで対応し、保護者や子どもの話を共感的に聴き、寄り添い、配慮することをしてくれています。

とはいえ、まだまだ学校には直接言いづらい、といったことをおっしゃる保護者さんたちもいます。

教員は教える専門職ですから、どうしてもかかわり方が教育的になりがちで、負荷がかかったと保護者やお子さんが感じやすいようなのです。

私たち福祉職は、負荷をかけずに変化を促す専門職だと思っています。

関わり方が違うので、相乗効果でそのご家庭のウェルビーイングを高めることができると考えます。

今のA市教育委員会には、そういった福祉的視点がないように私は感じていて、かなりショックを受け、正直その自治体のSSWをやめたくなっています。

私を私のまま受け入れてくれる場所でないと、私はまた心身を病んでしまいます。

私は福祉的視点を取り入れようと理解に努めてくれ、私と対話してくれる自治体でSSWとして働きたいです。