スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

わざと非行し親から離れる

その日、私は定期的に面談するお子さんに会うため担当校に行きました。

到着すると、A先生が話しかけてくれました。

その内容が衝撃的でした。

 

A先生が10年位前に受け持ったBさんは、

雨の日には登校するけど晴れだと休むといったことを繰り返していました。

屋外の部活動に所属していないのに日に焼けていて筋肉質だったそうです。

ある日、A先生はBさんに休む理由を聞くことができました。

Bさんは、家庭が経済的に苦しく、修学旅行などのお金がかかる行事に

参加させてもらえないでいました。

中学生になり、自分で修学旅行のお金を工面すればと母親に提案され、

母親の知り合いのところで土木工事を手伝っていたのでした。

だから、晴れの日は学校に来ず、雨の日には登校できていたのでした。

しかし、ある日、Bさんはそのお金は貯金されておらず、

母親が使ってしまっていたことを知ってしまいました。

そして、BさんはA先生に、

「あの親(母)から離れるには、もう、悪いことするしかないっすよね・・・」

と、A先生に伝えます。

A先生はそれを否定しなかった、いやできなかったとおっしゃっていました。

その後、Bさんは非行行為で施設に入所となり、

念願の修学旅行に行くことができました。

今は一人暮らしをしているとのことです。

修学旅行に行けたことを伝えたかったと、

卒業後1度だけA先生に会いに来てくれたとのことでした。


私はこの話の最中に涙ぐみ、涙がこぼれ落ちるのを止めることができませでした。

この時SSWがいたら、非行以外の方法をBさんに提案できたと思うのです。

親から離れる方法として「非行」を選択せざる終えなかったBさんとA先生。

お二人が、SSWのような知識を持った人に出会えなかったことが私には悔やまれます。

もし、Bさんのような子と出会ったなら、私はSSWとして、

非行以外で親元を離れ修学旅行に行くことができる道を一緒に考えます。

Bさんのように静かに困っているお子さんたちと出会い、

支援したいと常々思っています。

そのために何をしたら良いのか、アウトリーチが私の課題です。