スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

愛着形成に課題

就学前の先生たちの関りは?

数か月前から直接支援しているAさんは、私の目からは愛着形成に課題があるように見えています。愛着形成に課題があるお子さんに出会って思うのは、幼稚園や保育園、子ども園で先生たちはこの子にどんなかかわりをしてくれていたのか、ということです。私はつい批判的に推察してしまいます。

就学する前に所属した園の先生たちが、この子は愛着形成に課題があるかもと推察してくれたなら、その道のプロとして、そのお子さんに母性愛で満たすようなかかわりをしてくださるはずだと思うのです。特に、保育士は児童福祉法に基づく福祉職でもあります。そのような視点を持っているものだと思うのです。その点、幼稚園は教諭なので福祉的視点を持つことは難しのかもしれません。

就学前に母性愛で満たすかかわりをしてくださっていたなら、小学校で触れ合いを求めるような行動をとるのでしょうか。私は社会福祉士の資格を取るための実習で児童発達支援センターと言う就学前の障害児が通う施設で学びましたが、そこに努める保育士の視点が教育的だったことが気になりました。子どもの個を捉え、必要な支援をするはずの施設でさえこのような対応なのかと幻滅したことを覚えています。

愛着形成の課題の穴埋め

私はAさんに週に1回だけ会い、直接支援をする中で意識していることは、母性愛で満たすことです。そして、学校内での安全基地になることです。私が見ているから大丈夫、という安心感を持ってもらうことです。先日Aさんが私のお膝にいるときに、私は意味もなく頭をなで続けていました。嫌がらないので離れるまでしていました。頭をなでること、それは私にとってあなたは大事な子だよ、という非言語のメッセージです。すると、その日の午後、いつもならクラスメートを叩いてちょっかいを出すAさんが、クラスの中で一番仲良しのBさんの頭を「いいこ、いいこ。」と言いながらなでていたのです。その場面を見て自分のやっていることに確信が持てました。『子どもは大人が言うようにはならない、大人がするようになる』とは、どこかで聞きかじった言葉ですが、全くその通りだと思いました。私がAさんを優しさで包むことでAさんも他者を優しさで包むことができる人になっていく、これを校内で共有し、教職員全体でやっていけたなら、Aさんはどんどんより良くなっていくと思っています。