実は聞き耳を立てている
私は校内巡視をせず職員室にいるときもあります。
目的を持って、あえて職員室にいるのです。
その一つは、職員室での先生たちの会話から情報収集するためです。
先生たちは、クラスの子の困りごとを職員室で話していることがあります。
そういった話題が聞こえてくることは、担任が一人で抱え込んでいないことになる、チーム学校になっているので良いなぁと思いながら聞いています。
そして、そういった場面をあまり見かけない、孤立気味の先生もいらっしゃいます。
つらい過去を話したA先生
A先生はほかの先生との交流が乏しく、孤立気味に見えていました。
そんなA先生の学級経営がうまくいっていたならそれでもよかったのですが、不適応を起こしてしまった子が一人ではありませんでした。
A先生が孤立していることは管理職からも心配だとの声を聞いていました。
私は、A先生に介入的にかかわろうと、労をねぎらうところから始めました。
何回か目に話しかけたとき、子ども達がいない廊下で、A先生がご自分の辛かった子ども時代の学校生活の話をし始めました。
そして、ご自分が這い上がってきたのだから、子ども達も自分の力で適応する力をつけていってほしい、という願いがあることがわかりました。
このことを、こっそり管理職に伝えました。
伝えることで、管理職のA先生へのまなざしが柔らかくなること、管理職がA先生を心配するだけでなく支援することを願ってのことです。
介入的に支援する
職員室で耳に入ったことで、これはSSWがかかわった方がよさそうかな、と思ったときには、「聞こえちゃったんですけど」と言って、その話題に入らせてもらうことがあります。
また、職員室などで子どものことを先生同士であまり話さないと感じた先生には、「話しかけてもいいですか?」と、タイミングを見計らって、廊下や教室など職員室以外でその先生に話しかけることをしています。
私たちスクールソーシャルワーカー(以下SSW)は、クライエントに相談ニーズがなくとも介入的に相談支援することができることが強みであり、特徴の一つです。
教員も時にはクライエント
SSWにとって、クライエントは子どもや保護者だけでなく先生たちもクライエントです。
教員としての日常を保てず、クラスの困りごとが教員だけでの対応が難しい案件を抱えてしまった場合、それを見つけたら介入的に支援する立場であると私は思っています。
それは、辛い状況にいる先生をそのままにしておくことは、子どもの最善の利益につながらないからです。
先生は、子どもたちにとって多大な影響のあるな環境です。
SSWは環境調整の人ですので、先生の辛さに気づいたらこちらから先生に話しかけることも活動の一つと思い、私は積極的に行っています。