スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

いじめには迅速に対応の『迅速』って?

 

 

いじめの初期対応はその日のうちに

私が勤務する日、偶然、これは「いじめ」として緊急に対応しなければならない案件だな、と思うことが耳に入ってきました。しかも、勤務時間終了のころに。

私は、こういう時のために勤務していると思っています。

なので、これをすぐ管理職に伝えなければと思い行動したのでした。

SCと間違えられる

振り返ると、不思議なことにいじめの被害者であるAさんの情報共有から始まったその日の勤務でした。

とはいえ、それはB先生の勘違いから始まっています。

朝、職員室の自分の席に着席するや否や、B先生が話しかけてくれ、その内容がAさんのことでした。

B先生は、「うちの学年大変なんです。また力貸してください。」とお伝えいただいていた学年主任の先生でした。

Aさんについてひとしきり話した後、「またカウンセリングを先生(私のこと)にお願いしたいと」とおっしゃったところで、「あ!スクールカウンセラーさんと間違えて私に話しかけたんだ」と気づき伝えると、やっぱりそうでした。

聴いた中にはスクールソーシャルワーカー(以下SSW)もかかわることができる部分があることをお伝えし、話を終えていたのでした。

勤務終了間際に

そして、勤務時間が終了に近づき帰り支度をしていたそのころ、Bさんについてその日動きがあったようで、学年部の先生がすでに帰宅されていたB先生に報告の電話をしていました。

その電話を偶然私の目の前の席でしていたので、その内容がすべてはっきり私に聞こえてきたのです。それは、いじめとして緊急に対応すべきBさんについてでした。

これは帰れない、とりあえず緊急対応してもらえるかを見届けねばならないし、今後の対応も聞かないと、と思い、管理職の許可を得ました。

そして、緊急会議を行うところに参加させてもらえると期待して待っていました。

出しゃばる私

とりあえず、緊急会議は始まったようでした。校長室の扉が閉められ、数名でAさんについて話し合いをしてくださっているようでした。

扉が開いて呼ばれるかと思いきや、話し合いは終わったようで、学年部の先生が決定事項を伝えてくれました。

その決定事項からすると、その日はもう行動しないことになっていました。それはまずいことを伝えたいと思っていたところ、ちょうど教頭先生が私のところに来てくださいました。

そして、私の考えをお伝えすると、生徒指導主任と学年部が話しているところに合流しそれを伝えようということになりました。

「(SSWとしては)とりあえず今日、被害者の保護者にこれを学校としてはいじめと受け止めて対応すること、保護者さんの話を詳しく聴きたいことも伝えたほうがいいし、今日言いたいとなったら行ったほうがいい」ということをお伝えしました。

しかし、やはり、教育とは違った立場の私の言葉は受け入れがたいようで、そこまでする必要があるの?といった表情をされる先生、困惑の表情を浮かべる先生、違った方向性を提案してくださる先生がいらっしゃいました。

それぞれの思いがある状況の中、なぜ今日時間外の今から行動する必要があるのかをお伝えすると、温度差は感じるものの、やるしかないか、といった緩い合意形成がなされた感じとなり、誰が何をするのかが決まり、動き始めてくださいました。

まずは、担任が電話をし、いじめとして真摯に対応することをお伝えし、保護者さんのお考えを聴かせてほしいがいつがよいかと尋ね、その日ということになりました。

電話を終え、先生たちはAさん宅を訪問し、30分ほど話を聴いて戻ってこられました。

保護者さんとの話の報告を聴くと、この際だからと、今まで知りえなかった情報を得ることができるなど、保護者との信頼関係が構築されたことがわかりました。

出しゃばって良かった

私は自分の思いをすぐ行動に移すタイプではありますが、その行動の後にいろいろ考えてしまうタイプでもあります。

校長室での話し合いの時や保護者さんに話を聴きに行っている時の待機している間、時間外なのに申し訳ない、でも、今動かないと大きなことになりかねない、リスクを減らすにはこれしかなかった、でも、先生たちには納得してもらえてないかもしれない、SSWのせいで面倒くさいことになってる、とか思われてるよね、きっと、とか、いろいろぐるぐるしてました。

でも、その日にできることをすべて終えた後、この件にかかわってくださった先生のお一人が、「迅速に対応するとこんなに信頼関係が築けるなんて、勉強になりました。」とおっしゃってくださり、私の出しゃばった行動は無駄ではなかったと目頭が熱くなりました。

また、教頭先生にも「『迅速』ってわかっていたつもりだけど、わかっていなかったことに気づかせてもらった、ひろさんがたまたまいてくれてよかった、ありがとう!」とお言葉をもらい、また嬉しくて目頭を熱くしていました。

これからも、きっと後からぐるぐる考えちゃうけど、それでも、『迅速』に思いを行動へ移すことを続けていこうと思います。