暴言暴力が日常の家庭
私は虐待を受けたAさんの話を聴かせてもらいました。
Aさんは幼いころから親から暴言暴力を受け続けただけでなく、親がAさんの兄弟に対しての暴言暴力を目にしたり、両親の激しい喧嘩を目にすることもありました。
Aさんは身体的虐待と心理的虐待を受けていました。
しかし、子どもにとっての「普通」は、自分が日常生活を過ごす家庭です。
Aさんはこの生活が普通だと思って過ごしていたのでした。
先生に打ち明けたら
成長とともに親のことを悩むようになっていたAさんは、担任の先生の「何か悩んでいることありますか?」に対し親のことを打ち明けます。
しかし、打ち明けたその日に担任の先生がAさんの親に電話をしAさんから聞いたことを伝えると、Aさんは親に「何家のことしゃべってんだ!」と叱られてしまいます。
そのせいでAさんは親から何かされても言えなくなってしまいました。
そして、いつか誰かが通告してくれないかと周りに期待しながら、辛い日々を過ごしていました。
担任は管理職に相談したのか?
スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の私からするとありえない対応です。
まず、一担任が虐待について電話で対応なんてありえません。
この担任の先生は管理職に相談していなかったのではないかと推測します。
管理職に相談していたならば、担任に「電話しておいて」という指示は出さないと思うのです。
家庭に関することは担任だけの判断での行動は控えるべきだと考えます。
そもそも子どもは学校が預かっているのであり、担任が預かっているわけではありません。
今は「チーム学校」が叫ばれています。
担任は、その起きている事象が自分だけで対応して問題ないのか判断し、必要に応じて学年主任や生徒指導主任、管理職相談する力が今は必要です。
虐待対応
私が家庭児童相談員をしていたとき、虐待の情報が入ると緊急受理会議をすぐに開きました。
誰が何をするのか、漏れがないよう児童相談所とも相談しながら対応を決めていきました。
例えば泣き声通告があったとき、48時間以内に対象の家庭を訪問します。電話は使いません。
今回のAさんの件も、電話で済む話ではないのです。
担任は管理職に報告し、誰がどんな対応をするのか、それとも児童相談所に通告するのかなど、Aさんにとっての最善を考えて話し合うべきでした。
同じ失敗がないよう、虐待対応について先生たちへ伝える場の必要性を感じました。