スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

『今日も明日も負け犬。』を視聴して

ラッキーな出合い

「TOSS大阪みおつくし(注1)」さんが主宰した『今日も明日も負け犬。』という映画のオンライン視聴のイベントを偶然開催日数日前に知り参加しました。

『今日も明日も負け犬。』という映画は起立性調節障害の女の子の実話を映画化したものです。

この映画の監督は主人公の女の子であり、演者の中には本人もいました。

作成にかかわったのは高校生や大学生です。スタッフに大人はいません。

これだけでもすごい映画だと思うのですが、このすごさが認められ、「高校生のためのeiga worldcup2021」で最優秀作品賞、つまり日本一になり、アメリカなど海外でも上映されているというすごさです。

とはいえ、私はスクールソーシャルワーカーですので起立性調節障害についてはわかっているつもりで、たいして期待もせずに視聴し始めたのでした。

わかってるつもりだった

視聴して、わかってる「つもり」だったことを思い知らされました。

具体的な辛さが映像によってリアルに感じられました。

聞いたり、文章で読むのとは違う衝撃がありました。

等身大の彼女たちだからよりリアルに伝わるのかもしれません。

直に伝わってくる感じとでもいえばよいのでしょうか。

自分の語彙のなさが悔やまれます。

百聞は一見に如かずです。子どもに関わる多くの人に見てもらいたいです。

起立性調節障害とは

起立性調節障害は思春期に好発する病気です。病気ですから治ります。ただ、風邪のように数日で治るわけではなく、年単位で症状に悩まされることもあります。

小学生の約5パーセント、中学生の約10パーセントがこの病気になってしまうそうで、一クラスに数名この病気になってしまうお子さんがいるということになります。

症状として、朝起きられない、めまいや動悸、頭痛、腹痛など、辛さが本人にしかわからないものが多いうえ、昼くらいから夜にかけては通常の生活ができるので、「怠け」と多くの人に捉えられてしまうこともさらにお子さんを追い込みます。

追い込まれたお子さんはどんな思いなのか、どんな行動をとってしまいかねないのかも丁寧に映画は扱っています。

理解が広がってほしい

思春期のお子さんや思春期の子どもに関わる大人たちに特に見てもらいたい映画だと強く思います。

起立性調節障害に限らず、発達障害、LGBTQ、過去の被虐体験、過去の被災体験など、見えないつらさを抱えた子どもは必ずいます。

そのお子さんが感じている辛さと全く同じに辛さを感じることはできないけれど、想像することはできると思うのです。想像できる人が増えることを望みます。

また、どんなふうにそのお子さんとかかわるとそのお子さんにとってより良いのか、お子さんの言葉を聴き、受け止めて行動する人が増えることを望みます。

さらに、普通に見えるそのお子さんは、もしかしたら見えない辛さがあるのかもしれない、という視点も持てる大人が増えてくれることも望みます。

その視点を持って、お子さんにとってよりよい行動を意識してくださる方が増えることを望みます。

と、多くを望んでしまいますが、こうあってほしい、を持ちながら日々活動していくことで少しずつ近づいていけると信じて、スクールソーシャルワーカーとして活動しています。

 

(注1)大阪にある教員のサークル名