スクールソーシャルワーカーのひとりごと

守秘義務に配慮して綴っています

学級内環境を整える

いじめの訴えがあるクラスの観察

A校の教頭先生に、Bさんからいじめの訴えがあったのでクラスを観察してほしい、との依頼がありました。

1時間授業を見させてもらうと、担任の先生はBさんの行動についてみんなの前かつ大きな声で何度も注意していました。また、クラスの子もBさんをしばしば注意していました。

先生がみんなの前かつ大きな声で子どものことを注意するのはよくあることです。その注意の仕方を100%否定するつもりはありません。それが、クラス全体の抑止力になることもあるからです。

その一方で、その注意の仕方のせいで苦しむ子どもがいることをスクールソーシャルワーカー(以下SSW)として先生方に伝えなければと思っています。

担任の行動がクラスの子らへ与える影響

皆の前で大きな声で注意されることが続くと、その注意されている子は、クラスメートに注意しなければならない子、と非言語的に認識されます。

すると、クラスの中の正義感が強い子やうっぷんがたまっている子などがその子を大きな声で注意します。

そして、悪い意味でも良い意味でもその子は注目される子になります。

そのお子さん自身に発達障害や育ちの未熟さ、家庭環境の不穏さがあると、お子さんはそういったことを否定的に受け取ることがあります。

クラスの子らに嫌なことを言われる、攻撃されている、と感じるのです。それが、いじめられている、という訴えになることもあるのです。

また、担任が注意をする態度が高圧的な時、見ているお子さんが傷つくこともあります。

あたかも自分が怒られているかのように辛くなるお子さんが一定数いるのです。

担任に行動を変えてもらう

Bさんの担任の先生は高圧的ではないけれど注意の仕方を変えてもらう必要があること、また、クラスの子についてもBさんを大きな声で注意しないようにしてほしいこと、なぜそうしてほしいのか、を教頭先生に伝えました。

教頭先生は納得してくださり、私から担任に伝えてほしいとおっしゃったので伝えることになりました。

そして、担任の先生の行動とクラスの子らの行動のうち、先生の行動についてのみ伝えました。

それは、担任の先生と話している中で、子ども達には優しく注意できるようになってもらいたい、とおっしゃったからでした。

SSWの立場としては、クラスメートの大きな声での注意もやめてほしかったのだけど、そこは、担任の先生の考えを尊重したのでした。

その後しばらくして確認すると、Bさんからのいじめの訴えはなくなったとのことでした。

当たり前を見直してほしい

先生たちからすると、悪いことをしたら注意されるのは当たり前、と思うのでしょう。

しかし、皆の前で大きな声で注意されることは大なり小なり辛さを伴います。

それによりその後問題が起きそうにないお子さんに対してはそれでも良いかもしれません。

ただ、できれば、注意するとき、その子の近くに行ってこそっと伝える、それを繰り返す、が一番響くであろうし、誰も傷つかないと思っています。

先生たちはきっとほとんどの方が怒られても受け止められる強さがある方々なので、怒られることをネガティブに感じるお子さんを理解するのは難しいのかもしれません。

理解は後で良いし、なんなら理解できなくても良いので、行動だけは変えてほしい、と、私はこういったことがあるたび伝えています。

腑に落ちない表情をされるのは辛いですが、全ては子ども達の最善の学習環境を整えるためと思っています。